学際生命科学東京コンソーシアム - Tokyo Interdisciplinary Life Science Consortium

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学際生命科学東京コンソーシアム 第12回市民講演会

 学際生命科学東京コンソーシアム 第12回市民講演会  

 「かけがえのない『いのち』を育む科学」
   〜 病気の予防、治療、健康管理の先端科学をのぞいて見よう〜

【日時】2017年10月21日(土) 午後1:30〜4:45

【場所】北里大学 コンベンションホール
   入場無料(事前申込不要)

13:30~13:35  開会の挨拶         今井浩孝(北里大学)

13:35~14:10      (座長) 今井浩孝(北里大学)
低線量率紫外線ストレスがゲノム安定性に及ぼす影響とその耐性メカニズム
           学習院大学理学部 生命科学科 教授 菱田 卓

14:10~14:45 (座長)小林義典(北里大学)
痛みを弱める体内システムを利用した鎮痛戦略
           北里大学薬学部 教授 田辺光男

14:45~15:20 (座長)木村剛(東京医科歯科大学)
寝たきりを防ぐ:遺伝子治療・再生医療の研究現場から
           東京医科歯科大学生体材料工学研究所 教授 位髙啓史

15:20~15:35  休憩

15:35~16:10 (座長)小林哲幸 (お茶の水女子大学)
健康工学〜持続可能な社会の構築に向けて〜
           お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系 教授 太田裕治

16:10~16:45 (座長)由良敬 (お茶の水女子大学)
コンソーシアム共同研究紹介講演
  がんと遺伝:「若年者の遺伝性乳癌に対する認識」に関する研究成果報告
           東京医科歯科大学生命倫理研究センター 助教 甲畑宏子 
    
【主催】北里大学 
【共催】東京医科歯科大学、学習院大学、お茶の水女子大学
【後援】港区

お問い合わせ先:北里大学・コンソーシアム事務局
 〒134--0082 東京都港区白金5−9−1
  TEL: 03-3444-6191
   Http://gks.tmd.ac.jp


【講演要旨】
低線量率紫外線ストレスがゲノム安定性に及ぼす影響とその耐性メカニズム
学習院大学理学部 生命科学科 教授 菱田 卓

細胞内では様々な要因によって絶えずDNA損傷が発生しているため、生物は、このようなDNA損傷ストレスに対する耐性能力を獲得することで様々な環境に適応してきました。しかしながら、長期に渡るDNA損傷ストレスへの暴露は、ゲノム不安定性を引き起こす原因となることが知られており、例えば、DNA損傷の主要な環境要因である紫外線の場合、皮膚がんや白内障などの健康被害の他、農作物の収穫量の減少などを引き起こすことが報告されています。したがって、このような致死的ではない低レベル損傷が生物に与える影響を明らかにし、その防御機構を理解することは重要な問題となっています。本講演では、出芽酵母をモデル生物として、自然環境で問題となる慢性的な紫外線損傷ストレスに対する生物の耐性獲得戦略についてご紹介したいと思います。


痛みを弱める体内システムを利用した鎮痛戦略
北里大学薬学部 教授 田辺光男

痛みは生命維持において危険を知らせる重要なシグナルですが、慢性化すると生活の質の低下を招き治療の対象となります。痛みシグナルは神経を介して末梢から脊髄を経て脳まで伝わり、そこで初めて痛いと感じます。同時に、私達の体は痛みを抑えるための脳から脊髄への神経経路(下行性疼痛抑制系)を併せ持っています。また、脊髄には興奮性や抑制性の神経細胞があり、痛みを強めたり弱めたりする機能を有します。このような私達が生まれながらにして持っている下行性疼痛抑制系や脊髄内抑制経路を強めることは、鎮痛をもたらす上で非常に重要な戦略だと考えられます。今回の講座では、まず痛みの伝達と制御について簡単に解説し、下行性疼痛抑制系を強める最近の鎮痛薬と、さらに脊髄内の抑制性神経に注目した鎮痛戦略について紹介します。


寝たきりを防ぐ:遺伝子治療・再生医療の研究現場から
東京医科歯科大学生体材料工学研究所 教授 位髙啓史

高齢化に伴い身体の加齢変化が進むことは避けられない。筋力の低下、骨粗鬆症、軟骨変性などが徐々に進行し、運動感覚機能は確実に低下する。一方このような変化を抑制し、場合によっては再生・再建してしまう技術も発達しており、一部は臨床応用も進んでいる。演者は整形外科医から高分子材料研究やそれを用いた新しい治療法の研究に進み、臨床・研究の両面から運動感覚器の医学に携わってきた。講演では最近の研究成果を一部ご紹介しつつ、健康長寿社会の実現に向けてご一緒に考えていきたい。


健康工学〜持続可能な社会の構築に向けて〜
お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系 教授 太田裕治

計測・情報技術の進展に伴い,生体バイタルサインの情報収集は病院環境を離れ,個人の生活環境にて実施されるようになってきている.侵襲性の低い生体計測技術の実装化が進むことで,より普段の生活状況に近い環境で,ナチュラルな情報が集約されつつある.それらのデータを生かすことで健康の維持増進に役立てることが可能となってきている.講演では,演者が開発を進めている非侵襲性計測の事例を紹介しつつ,健康課題への取り組みを紹介する.今後は,これらの計測技術をベースに情報技術と組みわせることで,保健・医療・福祉・介護各領域を分野横断的に接続し持続可能な社会を構築することが求められる.


がんと遺伝:「若年者の遺伝性乳癌に対する認識」に関する研究成果報告
東京医科歯科大学生命倫理研究センター 助教 甲畑宏子

本講演では、学際生命科学東京コンソーシアムと共同で実施した研究「遺伝性乳がんの教育支援プログラム開発」の成果として、日本人の若年世代(20~30歳)における乳がん・遺伝性乳癌がんに対する知識や認識の現状と問題点をご報告します。また、「がんと遺伝」や「遺伝カウンセリング」をテーマにお話しをさせて頂く予定です。一般的ながんと遺伝性がんの違い、民間企業が提供する遺伝子検査と医療機関が提供する遺伝子検査の違い、遺伝情報を個人の健康管理にどのように役立てていくか、について皆さんに理解して頂きながら"遺伝と多様性"について考えてみたいと思います。