学際生命科学東京コンソーシアム - Tokyo Interdisciplinary Life Science Consortium

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第1回 市民講演会 ~限りなく広がる「いのち」の科学~

第1回市民講演会では、市民の皆様が生命科学に大変興味をもたれていることを知ることができました。また「学際生命科学東京コンソーシアム」についても、市民の皆様にご理解していただけることができました。

会 場:学習院大学 西5号館202号室
連絡先:学習院大学理学部生命分子科学研究所・花岡文雄
Tel: 03-3986-0221 内線6457
Fax: 03-5992-1029
主催:学習院大学
共催:東京医科歯科大学、お茶の水女子大学、北里大学
後援:豊島区

プログラム:
13:00 開会の辞 福井 憲彦(学習院大学・学長)

13:05
 佐々木 成 (東京医科歯科大学医学部・教授)
 『みずみずしい体のしくみ』

 中村 浩之 (学習院大学理学部・教授)
 『ホウ素中性子捕捉療法〜次世代の細胞選択的放射線療法を目指して〜』

 三木 義男 (東京医科歯科大学難治疾患研・教授)
 『ゲノム情報によるがんの個性診断と治療への応用』

 郷 通子 (お茶の水女子大学・学長)
 『遺伝子の世界とコンピュータの融合』

15:05 休 憩

15:25
 山本 直樹 (お茶の水女子大学院人間文化創成科学・教授)
 『植物細胞の形づくりと光シグナル』

 伊藤 智夫 (北里大学・薬学部長)
 『薬物動態:飲んだ薬は体の中でどうなるの?』

 左近司 祥子 (学習院大学文学部・教授)
 『仔猫が初めておもてに出るとき〜にんげんがなくしたもの〜』

16:55 閉会の辞 郷 通子(お茶の水女子大学・学長)

講演内容:
佐々木 成 (東京医科歯科大学医学部・教授)
『みずみずしい体のしくみ』
 人の体の約2/3は水でできています。みずみずしい体は健康の基本ですが、加齢とともに体の水の量は減ってきます。ドライアイ、ドライマウス、ドライスキンなどの症状が出ることもあります。また逆に体に水が溜まりむくんでしまうこともあります。この講演では、体の中の水を行き渡らせ上手にコントロールしているしくみ、そしてそれが駄目になって乾いてしまったりむくんでしまったりする病気とその対策について、最新の研究成果も紹介しながらお話します。

中村 浩之 (学習院大学理学部・教授)
『ホウ素中性子補足療法』
 低エネルギーの熱中性子はエネルギーの高い高速中性子とは異なり、人体には無害である。しかしながら熱中性子とホウ素10との反応から生じる高エネルギーの粒子線は、その飛程は細胞1つの直径(5~9μm)であるため、予めホウ素薬剤をがん細胞にのみ選択的に送り込めば、がん細胞のみを選択的に破壊することができる。このホウ素中性子補足療法(BNCT)が、次世代の細胞選択的放射線療法として近年注目されている。本講演では、医工化学の集学的研究が求められているBNCTの現在の研究開発状況について、我々の研究成果を合わせて紹介する。

三木 義男 (東京医科歯科大学難治疾患研・教授)
『ゲノム情報によるがんの個性診断と治療への応用』
 今日、ゲノム科学は構造解析から体系的な機能解析の段階に進み、その結果得られた情報から「がんの個性」や「患者の個性」を明らかにし、個人に最適ながん治療(オーダーメイド治療)を開発することに大きな期待が集まっている。一方、臨床の現場では、近年、がんの集約的治療として抗がん剤や放射線による治療がますます重要な役割を担いつつある。そこで、(1)がん患者の体系的ゲノム解析、(2)がんの網羅的遺伝子発現解析から個々の患者の特性に合わせた有効かつ副作用のない抗がん剤治療の創出を試みているので紹介する。

郷 通子 (お茶の水女子大学・学長)
『遺伝子の世界とコンピュータの融合』
 科学の世界、特に生命科学では多くの女性が活躍している。それは生命科学が、いろいろな科学を基盤として多様な発展を見せているからだと考えている。多様な発展を続けている生命科学には、女性が持つ包括力が必要とされている。生命がおりなす様々な現象ひとつひとつにはいつも驚かされるが、生命現象全体を大きく捉えて見てみると、もっとおもしろいことが見えてくる。そのための道具が意外にもコンピュータである。コンピュータを使って見える多様な遺伝子の包括的な姿をご紹介する。

山本 直樹 (お茶の水女子大学院人間文化創成科学・教授)
『植物細胞の形づくりと光シグナル』
 植物の成長・発達を光のはたらき抜きに語ることはできません。エネルギーの面からみれば光合成がありますが、それだけではありません。私たち人類も交通信号を始め日常的に赤と青をよく利用しますが、植物も赤と青の光をシグナルとして使い、適切な植物細胞の形づくりを行っています。このメカニズムは遺伝子研究が容易になって急速に解き明かされてきたものです。当日は、クリプトクロムと呼ばれる新しい青色光受容体を中心に、私たちの研究成果をまじえながら、「植物細胞の形づくりと光シグナル」のメカニズムを紹介します。

伊藤 智夫 (北里大学・薬学部長)
『薬物動態:飲んだ薬は体の中でどうなるの?』
 薬を飲んで効いた、症状がよくなったということを、ほとんどの人が経験をしていると思います。しかし、薬を飲んだ後、その薬が体内でどうなっているのかを考えたことのある人は、どの位いるでしょうか?また、何故、薬によって飲む回数が違うのでしょうか?薬物動態とは、薬の吸収、分布、消失(代謝・排泄)を指します。薬物動態を知ると、なぜドラッグデリバリーシステムが必要なのか、なぜ薬の飲み合わせで相互作業が起きるのかを理解することができます。本講演では、できるかぎり平易に薬物動態を紹介したいと思います。

左近司 祥子 (学習院大学文学部・教授)
『仔猫が初めておもてに出るとき』
 ①「もっと」を求めた人間は、文明・文化を発展させて今日に至っていますけれど、その過程で失ってしまったものが沢山あると思うのです。その一つが「危機予知能力」でしょう。猫の「雨が降る」予報、なまずの地震予知力。人間でも、昔は、漁師の古老など海の荒れを予知できたといいます。②ガレノスという医者が二世紀。ローマ帝国で活躍していました。それより五百年以上前に、ギリシャにいた、医学の父といわれるヒッポクラテスの説を受け継ぎ、動物解剖を手がけた人でした。①と②はどこでつながると思われえます?3月14日にお話したいと思います。